田中はゆるくいきたい

資本主義は個人の行動次第で緩やかに続いていくのではないかって資本論入門を読んでおもった

最近、資本論が流行ってるらしいので図書館で適当に探して資本論入門/向坂逸郎を読んでみた。読んでみると経済学部中退の僕でも楽しく読めた。だから割と読みやすい部類なのではないかなぁと思っている。ここから雑に感想書く。

資本主義批判≠社会・共産主義最高

共産主義や資本論の本は基本的に資本主義の弊害とか矛盾を正していこうとする文脈で論が進む。この原因はマルクスの生い立ちとかそこに共感する人が書いたものが多いからだ、と勝手に推測できる。マルクスとか子供死んでいるし、この本の向坂だってお金に苦しんでいる描写がある。それでも、現時点で資本主義以上にみんながほどほどに幸せになれるシステムは存在しないように思える。これは自分が先進国に住んでいて他の国の人間よりもいい暮らしをしている、もしくは労働環境の悪いところで働いたことがないからかもしれない。どっかからの受け売りだがグローバル化と資本主義によって裕福になったのは世界の富裕層と発展途上国の庶民らしい。しかし、そこのどちらにも入っていない先進国の貧困層の僕でも「資本主義良さげじゃん」ってなるんだよな。

この本が指摘する資本主義のダメなところって「人間の自己疎外が進む」「人間が平均的になり没個性になる」「人間の産物を人間でコントロールできなくなる」などと読み取れる。自己疎外とは人間が人間性を失うことである。例えば昔の炭鉱夫などは貨幣を稼ぐために非人間的な労働をしていた、これは生きるための貨幣を稼ぐために命を危険にさらしてまでしている行為なので人間性を失っている、つまり自己疎外である。この部分って経済システムで修正するべき点なのかが疑わしい。富裕層がこれを解決しないにしても人権について考えるのは市民団体や政治によってなされるべきなのではないかと感じる。

人間が平均的になる、というのは工場で全国の販売店で同じ弁当を作って売り上げたり、週刊誌などで全国で売りさばいて見たものに情報を売り与えると言った行為をすると平均的な人間が出来上がるという説明をしている。これは効率的に同じものを大量生産して日本全国や世界に売りつけることによって売り上げと利益が上がるので資本主義的だと思うがこれに乗せられているのは購入しているほうだ。買っているアホな人間が一番悪いよなという考えを僕は持ってしまう。

人間の産物をコントロールできなくなるというのは商品の値段とか金の価値の話だ。商品の値段が変わるのは需要と供給で決まるのだがそれを計画的に供給してやるのが社会主義の解決策だ。理論的にはそれをすることによって価格の変動が起こりづらくなり、需要と供給が安定するのはわかるのだが結局、それをやらせる側、政権側などが腐敗していると生産過程において商品の低品質化や横流しが絶えなくなる。人間が経済システムを構築して運営している限り、資本主義も共産主義も上部が権力に溺れることは避けられないのではないかと思っている。だからこれは経済システムが理論的にどうすればいいか、ではなくその時に運営している上層部側の問題なのではないかと実際問題思う。これは地域コミュニティや公営化によって人間の生活部分は権力と切り離せばいいと考える。

結局、理論と社会実装は違うという問題は解決されない。それに資本主義は欠陥があるんだけどそこを社会主義とか共産主義で直したとしても別の欠陥が出るだけの印象にしかならない。資本主義の欠陥を指摘したからと言って共産主義や社会主義最高!とはならないんだよね。

資本主義ベースの改良で良いよね

じゃあどうすればええんや、と思うんだけどそれはもう個人の選択だと思う。価格変動や人間の平均化に対しては、欲しいものを馬鹿みたいに買うとかやめればいいし、一時的に金が手に入ったからバーと使うとかやめればいい。バブルだからといって、好景気だからといって、馬鹿みたいに工場に生産させるのもやめればいい。これは個人の判断と会社の判断である。

あとは生きるために必要な必要最低限の部分を保証するか、人間として大事な部分を利潤を追い求める会社に委ねるのをやめるとかいろいろあるよね。ベーシックインカムもそうだし、水道や電気、ガスとか不動産の管理を地域コミュニティでやるのもなんかおもしろそう。つーかスペインの市民主導の公営化とかフランスの市民議会とかはこんな感じの文脈でやってると思う。あとはパワハラとか仕事の振り分けとかを一部AIや最適化するという手段もある。そこはUberEatsとかハイテク企業系で既にやっている。

結論としては“社会主義・共産主義を改良した社会<資本主義を改良した社会”が筋として良さそうだよなぁっていう感想になっちゃった。もちろんこれからも資本論解説みたいな本は読みたいし、売れていると噂の「人新世の資本論」も読みたいんだけど次の社会が社会主義とか共産主義が担うとは思えないな、と言うところで止まっている。一言でいうと資本論はおもしろかったから経験としては最高、ただ資本主義には劣るかなって感じ。