「なめらかな社会とその敵」の感想

メルカリ、スマートニュースの哲学、「なめらかな社会」が気になった

それはまだ僕が働いていた頃、ITエンジニアとしてベンチャー企業に勤めていた。会社のオフィスはお洒落なワーキングスペースでそこでは話題の本や著名人のビジネス本が置かれており、読み放題だった。そこで読んだ本がこのメルカリの本だ。メルカリといえばITベンチャー企業からしたら途方もなく雲の上の存在で僕も鼻息を荒くしてこの本を読んでいた。しかし、そこで気になる文章がそれはメルカリの創設は「なめらかな社会」の実現のためという一節。その言葉はその時から頭の片隅に残っていた。

そして、最近読書もまた始めたし、昔から気になっていたメルカリの哲学のもとになった鈴木健さんの著書「なめらかな社会とその敵」を読むことにした。ちなみに鈴木健さんはスマートニュースの代表取締役でもある。

なめらかな社会とは

この本ではなめらかな社会とは地域的なコミュニティを推進することでもなくグローバルの動きを推進することでもなく、その中間状態を豊かに広げていくことであると、まとめている。

価値と文化の多様性を保持しつつも国家、法律には縛られない、既存の枠組みを分解するという考えではなく一人の人間が複数のルール、国家、法律に所属し、それが自由になる社会を望むという考え。ではどうやってそのなめらかな社会を実現するのか。

その実現は伝播投資貨幣PICSYや伝播委任投票、伝播社会契約、伝播軍事同盟によって可能であることを説明している。その中でも特筆すべきなのが伝播貨幣投資貨幣PICSYだ。PICSYでは自分の生活がたくさんの人々の貢献によって成り立ちそして自分も世界の誰かの成り立ちに関わっているのだ、という自覚を持たせてくれると説明している。割とこの考えは好きだ。もし、そう考えながら生きる人間が多くなったら良いだろうかと思わずにはいられない。また、著者はなめらかな社会の実現にこれからのインターネット、コンピュータ、AIにかなり期待を寄せているようだった。

まとめ

2013年初版が発行されていますがかなり内容は現在と未来を見据えている。この記事では通貨のSPICYを軽く取り上げただけの浅い内容になっている。しかし、著者はSPICYだけではなめらかな社会は実現できないと考えているようで伝播社会契約の項目では政府に対する姿勢として「問題があれば追及すべき存在」から「私たちが政府なのである」という問題の自己解決化を推奨している。

伝播軍事同盟の項目では、国家が「戦争を厭わず平和を維持しようとする」から「公敵がいない社会」つまりゆるやかな敵対関係を作ることと分散化された武器によって平和を維持するという仮説が大変面白かった。今の時代に響く言葉が多く次の社会の姿はこうかもしれないと思わせるには十分すぎる論拠が並んでいる。ぜひこれらの言葉が気になった方は読んでみてほしい。