女の物語とワイン一杯だけの真実

ワインは風景を異化させる

村上龍の小説は限りなく透明に近いブルーに続いて2作目の読破。

本書は相当、ワインに愛着のあるんだろうなと感じるところが多々ある。

宝石や綺麗な花を溶かした液体を飲んでいるようだった

ここも飲んでいる人間の感情表現として伝え方が綺麗だなと思うし

ヴィラの夕日が海に溶け込むようにオーパスが私の胃の中に溶け込んでいたのであった

この文章もワインとともに今の風景を描写していて頭の中に映像が再生されやすい。このように特にワインを比喩表現を使って綺麗に描写されておりそれが見どころになっている。

また本書は形式としてアンソロジーやオムニバスに分類されるような小説である。物語では様々な場所に住んでいるどこか拠り所のない女性を主人公にしている。あとがきに書いてある通り、価値観が固定化された男性ではなくより流動的な様を描く意味で女性を主人公としており、ワインをトリガーとして過去の出来事を思い出したり、現状に満足したような表現の比喩として使っている。

ワインに限ったことではないけれど食べている瞬間、異国の風景が駆け巡るという風なことはあると思う。それを村上龍ならどう表現するんだろうと思う人間は読むべきだ。いつか僕も小説内で出ているワインを飲んでみたいと思う。