天気の子の感想
今日、新海誠監督の天気の子をみた
以降からネタバレを交えた感想を言っていく
最後まで貫き通した大人と子供の対立軸
「いい加減大人になろう」という言葉は誰もが一度は聞いたことがあるクソみたいな言葉だろう
僕もはっきり言って嫌いな言葉だが生きるためには必要なことだ
この言葉と作品中の主人公の行動は少年少女の多感な時期に周りの大人はわかってもらえないモヤモヤを描ききるのには十分だった
そしてそれらを一通り描き終えた後の「世界は初めから狂っている」という言葉にも救われる人は多いのではないだろうか
いい意味で大人になれない人や少年少女、大人になったが何か満たされない人たちをまとめて救った
唐突な描写はあるがそれはアート作品には些細な問題
様々な作品に言えることだが必要以上には描写されないところはあるものだ
そこを描写しても絵的に面白くないなど理由は様々だがこの作品では唐突感のある場面は少なくない
・主人公とヒロインがなぜ頑なに自力で暮らすのか
・主人公はなぜ東京に来たのか
・拳銃が出てきたことについて
しかし全てはどうでもよかった
・東京と天気の美しい描写
・シンクロする音楽
・ストーリー
理屈ではなくまだこの世にないものを想像し表現しきったのだからそれでいいのだ
途中で出てきた拳銃について
前述したが唐突な描写の一つに拳銃というアイテムを主人公が手に入れるシーンがある
新宿の歌舞伎町のようなところで偶然、主人公がゴミ箱の中から持ってきた包みの中に拳銃が入っており、おもちゃだと思いながらも持ち歩くシーンがある。
これは唐突で正直心の中で人によっては白けるだろうなと思った
しかしストーリーが進んでいくことでこの拾った拳銃がけっこうな意味をなしていることがわかった
以後主人公が拳銃を使ったのは二回
1回目はヒロインを怪しいアルバイトを進める輩から助ける時
2回目はいい加減大人になれと言われたシーンで主人公の意思表示
この二つに共通しているのは拳銃が主人公の強すぎる思いを描写するための一つのアイテムになったことだ
その行為はやりすぎでもあり、しかし拳銃発砲ほどではないがこの年齢の少年は様々な行動により自分の人生を台無しにすることはあるのだと思い出させてくれた
それを描写しようとしたのか?
真実はわからないが主人公の気持ちの強さを描写することには成功した
新海監督らしくない
ハッピーエンドのことではない
「君の名は」でやった音楽が導入される前の主人公とヒロインの行動を描きながらの音楽導入が雑だった
はっきり言って時間がなかったのか、誰かに急かされたのか
わからないが僕はそこが「君の名は」に比べてパンチ不足に思えた
細かいところを丁寧に仕上げる新海監督らしくない
天気は新海作品の何かを表現するための最適な材料だった
思えば雪、雨、雲、太陽やその光の反射具合など天気の描写は新海誠作品になくてはならないものだ
しかし僕は「天気の子」というタイトルを初めて聞いたときそのことをすっかり失念していた
「天気の子」ってなんだよって苦笑した
だが古くから和歌に使われ、現代小説にも風景描写としてよく使われるのは天気だ
それを新海監督がアニメ映画でやるということは天気に関して特別思い入れがあるのか、あるいは過去の物語全てに対するリスペクトの表明なのかもしれないと感じた