ホモデウスのような世界になったら不寛容な社会がさらに進行するのではないか

2021年10月22日

4,5年前に「ホモデウス/ユヴァル・ノア・ハラリ」を読んだ。その時は、こんな未来あるかもな、ぐらいの感覚で読んでいたがいよいよこういった未来が迫りつつああると確信している。そして実は日本のような国がホモデウスのような種族を作るのに最適な通念を持っているのではないかと思う理由を話したい。

ホモデウスって何

とりあえずホモデウスの説明からする。ホモデウスとは現在の人間の状態からさらに進化してもはや別の種族になるということだ。これを何によって成し遂げるかというと生物工学、サイボーグ工学、AIだと著者は言っている。

現在の人間はデザイナーズベイビーを認めてはいないが、現在の技術でも十分それに近いことができる。諸事情により精子の数が極端に少ない人や卵巣機能が低下している人でも体外受精をすることができるし、赤ちゃんが生まれる前から病気の確率を知ることができる。人間が望むのであれば科学はいつでも夢のような技術を与えてくれるし、今までもそのようにして人間が望むことは叶えてきた。この流れが変わらない限り、いずれ遺伝子操作をして完璧な人間を生むことも望むはずだ。それはいずれ遺伝子操作によって完璧な人間を生む可能性があるし、サイボーグ工学によって人間以上の体を手に入れるかもしれない。あるいはAIによって最適な行動を自分で考えるのではなく、考えてもらうことになるのかもしれない。

倫理的に遺伝子操作が認められ、完璧な人間が出来上がったらどうなるか。その人間は不老不死で外見も完璧に整えられ、健康状態が衰えることなく、精神状態も理想の個体になるはずだ。この理想状態の不老不死の人間をホモデウスと呼ぶ。

進行してる不寛容な社会

日本をはじめとして世界では不寛容な社会が進んでいると言われている。他人に不寛容な人や言動が見られるのは特に都市圏とネットで顕著だ。例えば東京では多くの建物と人間が密集しており、生活している。場所が狭い分一人一人がルールを守って効率よく迷惑をかけないように生活をしなければならない。そこでは、ルールにそぐわない人間は厳しい視線にさらされることが多い。都市圏の人間は人に興味が無いように見えて、人とは違う行動や風貌をしている人間に容赦ない視線を送り、無言の圧力を加えている。知らない人間には話しかけもしないし、目も合わせない。しかし、公園に自分の知らない人間が昼間に一人でいるだけで通報される。

別の都市の話をするとこの前、NYでエレベーターで女性が男性に突き落とされた事件があった。この話の凄いところは周りの人間が女性が倒れているのにもかかわらず誰も通報しなかった点だ。このようなことがあるとよく「テレビの撮影かと思った」などと言う人間がいる。しかし、これは本当の理由ではなく、ただ他人に関わりたくないだけの気がする。もはや都市圏の人間は秩序から外れた人間を助けようとも思わないし、助ける余裕もなくなってきているのだ。

世界の都市圏ではルールや秩序を守るあまりにそこから外れた人間を排除し、困っている人間がいても助けない社会になりつつあるのではないかと危惧している。「ルールを守ること=普通」であり、「違う行動をしている人間=悪」と単純に思ってしまうのであれば、もはや人間ではなくロボットやプログラムと変わらない。それは都市圏だけではなくネットでもそういった人間は存在する。

ネットで他人をたたく人間がいなくならない理由がSNSなどによって簡単に他人の考えや行動が可視化されたためだろう。片方の情報源しか信じないくせに、何も専門的なことは知らないくせに、誰かが叩かれていることを正義だと思っている人間たちはかなり醜い。

日本は「普通、常識、当然」という言葉と考え方によって人間の行動の大半が決まっているので実は他人に対して完璧性を求めやすい国である。人間に対して完璧性を求めると「ホモデウス」によって描かれているような完璧性を人間自体の遺伝子操作やAIに頼ってでも求めるようになるのではないか。ホモデウスはその説得力のある裏付けから未来の人間や世界の姿を教えてくれる本、という位置づけのはずだった。しかし、この本がベストセラーになったにも関わらず不寛容な社会が進んでいるところを見ると悲観的な未来を迎えるのは免れないのかなと考えてしまう。