田中はゆるくいきたい

終末の世界を普通に見るか?邪推で見るか?少女終末旅行を見た感想

カルチャー

最近は自分がシナリオや脚本に興味を持ち始めたのがきっかけで作品をしっかり見る機会に恵まれている。というか最近はいろいろ頭の中が整理されてきた。その中で流行ってるアニメとか小説読むんじゃなくて名作読んだほうが受け取れるものが多いことに気づいた。まぁそのセカイ系とかそこら辺の歴史も学べるしね。とにかく今回は少女終末旅行。この作品を見てたら自分も昔短いノベルゲーみたいなものを作ってたなと思ってもうちょっと時間取れたらその内容思い出しながら書き留めたい。それはそうと見たので感想落としていく。

OPとEDの言葉遊び

いきなり感想を書くのを日和ったのでまずはこの話からする。OP、EDに関してはいろいろなところでRemixで聴くしアニソンのDJとかにもよく好かれているなぁという印象。よく使われている主要因としてHIPHOPとかラップ要素があって韻踏んでたりダブルミーニング的なところがちりばめられていたり、BPM低めで曲としていじりやすいなどがある。

いまさらしっかりと歌詞の解説をする気にもなれないのでざっくり言うとOPの「動く、動く」という歌詞の後に「軋む」という言葉があると思うんだけどこれ曲の歌詞を見ると「kick she mood」という言葉になっている。直訳すると彼女の気持ちを蹴っ飛ばす、意訳として他がしょげていても、ネガティブでも関係ない。主人公であるユーリとチトの二人のどちらかの気持ちと言えばユーリっぽい。韻を踏むとかミーニング要素は他にもwe go walk(動く)a looking that said (歩き出せ)などがある。

世界が終わっても友達がいるからいいや

雑に結末の話をする。この物語でユーリとチトが途中で白い謎の生物(ヌコ)と出会って旅をし始める。ヌコは幼体で成体になるとエリンギみたいなやつになるんだけどそこで結構重要なことを言われる。「最上階以外で生きている人間をお前ら以外知らない」と。簡単に言うと最上階以外ではチトとユーリしか生き残ってないよ、と。

ただチトとユーリはあんまり動じていなくてチトに限って言えば「世界が終わろうともどうでもいいことだろう」とさえ言う。このセリフに僕は結構驚いた。この世界では本当に人がいないし、再開不可能なところまで到達してるという現状を知った。普通悲しむと思うがユーリも「私はさみしくないよ。ちーちゃんがいるから」ここだけ見ると世界が終わろうとも友達がいるからさみしくない、というストーリーだと言うことは出来る。表面上はね。

絶妙な違和感の正体

ただこの作品の過程や細かいところまで見ると一気に違う物語に見える。この作品は終始、絶妙な違和感を感じる。それは途中で出会うカナザワとイシイという人物と出会う話を見ても思う。カナザワやイシイが二人の幼い少女が旅をしていることに対して何とも感じていないのだ。

危ないよ、とか声をかけないのが不思議ではある。どういうことか。少女二人で旅をしていること自体がリスクがある環境ではないのか、もしくは?そう考えると一つの考えに至る。カナザワもイシイもユーリもチトもこの物語の以前にネガティブなことが起こりすぎて感情が薄くなったのかもしれないと考えるようになった。

そうするとネガティブが擦り切れて残ったなけなしのポジティブ(チトにとってのユーリ、ユーリにとってのチト)を見つけて生きる物語に見えてくる。さてこれを裏付ける材料として作者はプライベートライアンと村上春樹のノルウェイの森が好きだそうだ。共通項としてはどちらも軽く人が死にすぎる。作者の好きな本と少女終末旅行で描写されてる以前の物語を想像すると、登場人物が戦争や人が死ぬことに関して感情が薄いことは納得ができる。感情が薄く生気が無いように見えるのは人間同士の戦争で失ったものが多すぎたから感情が擦り切れてしまったのだ。

一神教説 and 人間は愚か

大体の書きたいことは書いたんだけど地球が終わる話は人間の死とか宗教の話から逃げられないはずなのでちょっと説明する。この話は一神教の話にも見える。なんかよくわからん白い存在を銅像にして崇めたり、実際主人公の目の前に現れていろいろ教えてくれる。ちなみに一神教は一説によると砂漠で生きる死ぬの判断をしないといけない過酷な環境下で生まれたといわれてる。これはこの作品にも言えることだと思う。

この過酷な環境で救いを求めるとしたら宗教としては一神教だし納得はいく。別の見方として、”人間は愚か”というところを描写している。戦争とかドンパチやって結局残ったのが機械と神様と主人公二人(カナザワとイシイは最終話ぐらいで死んでいるもしくはエリンギに確認されていない)デザインと全体的な雰囲気がゆるいけど後ろで流れているストーリーは結構主張が激しい。あのエリンギの話をまとめると。神として人間の行動見てきたけど戦争して勝手に自滅をやりだして愚かだったから地球の人間が開発したもの全部取っ払って元の通りの地球にしてから活動停止するわ、という流れ。

この流れ見ると森林や山とかの自然信仰的な感情は元ネタにありそうなんだけどそっちはどちらかというと多神教なんだよな。ぶっちゃけ宗教の話は作品に絡ませて解説したくはないんだけど宗教を知ってると得をすることがある。それは知らず知らずのうちに宗教っぽい影響受けている作品があって意外とそれで解説の事足りることも多いことだ。そもそも日本人だって多神教だしそこらへんに影響は全体的に受けてそう。