田中はゆるくいきたい

規制緩和をして利権を解体すれば世の中は全て良くなるだろうか

この前、「日本の宿題」という本を読んだ。この本の著者の一人が竹中平蔵なのだが、この人と言えば小泉純一郎と一緒に郵政民営化を進めた人物として知られている。思想としても規制緩和や利権の解体などを好んでいるように思えるのがこの本を見ていて感じられる。この本を読みつつ規制緩和や利権解体の先に何が残るのか考えてみた。

規制緩和と利権解体の先

日本の全国で規制緩和をし全ての団体の利権と議員の関係を白日の下にさらし、金の流れ・投票の流れを透明化する。素晴らしい考えだがこれを行うと社会はどうなるか。それは完全に実力主義の社会になるということだ。

特定の議員が毎回選挙で当選するのは利権や規制のおかげである。利権や規制のおかげでお金稼げて家族を養えるのであればその人間たちは何でもするだろう。特に特定の宗教団体や労働団体や産業団体等は補助金や政治家にお世話になっているので票と金や仕事の流れが出来上がってしまっている。それを壊すのはいいのだがそれで飯を食えていた家族や子供はどうなるのだろうか。そういう想像をしてしまう。

完全に実力社会の世界では弱者は切り捨てられ再チャレンジできない。全員が同じスタートにおいて利権も規制もなければ死ぬまで競争する社会で一度転べば起き上がることは出来ない。なぜならそれは努力しても実力を発揮できない人、というレッテルを張られその人間に税金を使うこと自体が無駄と判断されるからだ。

まあ実力社会にするのはいいのだが弱者やチャレンジして失敗した人間の対応を間違えてはいけない。お金や数字でしか考えられない人間は政治や政策も数字でしか見ていないのである。

利権や規制のおかげで生きている人間は多くいるし多くいるので特定の議員を当選させることが出来る。多数決の原理で民主主義で社会を作り資本主義が極まればこうなる。

弱者を救う規制と利権

結局、弱者を救う規制と利権は大切なのだ。なぜかというと年寄りや能力の無い人は利権にしがみつくことでしか利益を得られないからだ。閉じられた空間ではその効力がいかんなく発揮される。例えば宗教・学校・会社など。

会社で部下を意味もなく怒っておけば上司としての仕事は終わりだ。信者に対して甘い言葉を言っておけば身を乗り出して金を出してくれる。先生は偉いのだと言えば生徒は従ってくれる。など能力のない人たちにとって閉じられた空間で立場やルールを設定しておけば既存の人間たちにとって都合の良い空間ができあがる。

利権も同じである。自分たちにとって都合のいいルールを作ってくれる人に投票すればいい。自分たちにとって不都合なビジネスをしようとする人間にはルールがあるからできないと反対しておけばよい。以上全て能力が無い人たちだし、規制緩和や利権が解体した瞬間生きていくことのできない弱者である。

ここまで言っておいてなんだが、自分もそうなる可能性がある。頭も働かなくなって、体も動かなくなったらどうやって生活していけばいいのか。そこを救ってくれるのが利権である。何の能力も無くてもそこにしがみついていけばふんぞり返って生きていける。これが利権の正体である。